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裏切り者と共に少年少女は母星を目指す『彼方のアストラ』

スターウォーズなどに代表されるハードSFは好きですか?

どうも、宇宙も大好きハクライト(@hakuraito00)です。

前回の『外天楼』を

『ミステリー×ソフトSF(現代から少し未来の話)』とするなら、今回紹介するのは

『ミステリー×ハードSF(スペースオペラなどの壮大なSF)』でしょう。

と言う訳で、今回紹介しますのはこちらの作品。

作:篠原健太先生 
『彼方のアストラ』

『彼方のアストラ』簡単3行あらすじ

西暦2063年、主人公のカナタ・ホシジマを含めた9人のケアード高校の生徒は、教師に引率され、惑星「マクパ」で5日間のキャンプ生活を行うはずだった。

だが、キャンプ地で光り輝く奇妙な球体の中に吸い込まれた彼らは、遥か5000光年も離れた宇宙の彼方に突如放り出されてしまう。

偶然近くにあった宇宙船の中へと逃げ込んだ彼らは、仲間と母星への帰還を誓う。

 

ちなみに前回の『外天楼』

(ミステリー×ソフトSF(現代から少し未来の話))

はこちらの記事になります。

www.hakuraito.work

掲載誌情報!

集英社さんのWebコミック配信サイト『少年ジャンプ+』にて、2016年5月9日から、2017年12月30日まで連載。
全5巻。49話にて完結しました。

『マンガ大賞2019』の大賞を受賞したとの事なのですが、いや、納得の受賞ですよ。

私はジャンプ+で連載している時にリアルタイムで読んで、その後にコミックスで一気読みと言う、隙を生じぬ二段構えだったのですが(ジャンプらしいでしょ)

本当にページを捲るたびに

「え? マジかよ!」

「へ? マジかYO!!」

「ほぁあ? MA・JI・KA・YO!!」

と、一話ごとに驚きの展開を見せてくる、正に毎週のアンケートを意識したかのような、

JUMP漫画のお手本

 と言うに相応しい作品になっていると思います。

篠原健太先生と言えば、「週刊少年ジャンプ」で連載しておりました

「SKET DANCE」が有名ですね。

 

『SKET DANCE』も、非常に作りこまれたプロットに、個性的なキャラクター。数多くの小ネタに、何故其処まで作りこんだんだ! と思われる程秀逸なオリジナルゲーム。

そして何より、明かされるボッスンの過去、ヒメコの想い、スイッチの覚悟など、涙無しでは読めないシーンも多い、こちらも屈指の名作となっております。

少年少女は母星を目指す、裏切り者を探しながら

さて、話を『彼方のアストラ』に戻しましょう。


皆さんは、古典名作SF、萩尾望都先生

「11人いる!」

と言う作品をご存知ですか?

名門、宇宙大学の最終テストが、宇宙船の中での10人の共同生活を送ると言うもの。お互いに生まれた星も違う宇宙人10人が、共に暮らす事で、協調性を見るというテストだが、蓋を開けてみれば、メンバーは11人いた。

この試験の真意とは。そして、本来のメンバーでは無い「11人目」の正体とは?

私は最初に彼方のアストラを読んだ時に、この作品の影響を根強く感じているなと思いました。

命の危機から無事逃れた全員に走る緊張感。

そうです。作品の冒頭、少年達は気づく訳です。

 

「こんなに上手く、9人もの人間を宇宙空間に放り込む事が本当に出来るのか?」

 「そもそも、宇宙服を着ていて、更にはすぐ近くに宇宙船があったから良かったようなものの、本来なら宇宙空間に放り出された時点で、全員死んでいたんじゃないのか?」

 「もしかしたら、俺達全員を殺そうとして、自分も死のうとした裏切り者が、自分達の中にいるんじゃないのか?」

 

これから旅を共にする、信頼しなければいけない仲間を、まず疑わなければいけない。そんな疑心暗鬼犇く中、彼らの母なる星への旅は始まります。

最初は各々、中々打ち解ける事が出来ません。輪から外れる者、引っ込み思案な者、殺される前に裏切り者を見つけ出して殺してやろうと言う危険思想の者、様々です。

ですが彼らは、幾多の困難を乗り越えて行く事によって、徐々にお互いが信頼を寄せていく事になります。

明かすことの出来なかった秘密を皆に明かす事で、変わっていく仲間も居ます。彼らの友情は強固な物になっていきます。

仲間の絆が強くなればなる程、疑念は沸いては沈んでいきます。

 

「本当は、裏切り者なんていないんじゃないのか?」

 

自分達の考えすぎだと、そう思いたい。

だけど、頭の片隅にはいつも、もしかしたらこいつが? なんて言う歪んだ思想がちらりと頭を擡げます。

今作は、非常に素晴らしい友情物語でありながら、絶妙のバランスでのミステリー要素を兼ね備えている作品です。 

そして、徐々に明かされていく秘密の中で、物語中盤、読者さえも気づくことの出来なかった驚愕の事実が明かされる事になり、そこから更に、物語は加速度を増すのです。 

何処かで見た事がありそうで、何処でも見た事が無い作品。

本作のシチュエーションを見て、NHKで放送された

「無人惑星サヴァイヴ」

を思い出される方も多いのでは無いでしょうか?

こちらも根強いファンの多い作品ですよね。

近未来の修学旅行の最中、無人の惑星に放り出された少年達のサバイバル漂流記です。

宇宙での友情・遭難ものでは、こちらを上げる方も多いと思います。こちらを好きな人なら、絶対に楽しめる作品となっております。

 

そう、類似品を上げるのなら、多くの作品が出てくる事でしょう。

『彼方のアストラ』と言う作品は、もしかしたら、設定やギミックだけに注目してみれば、どこかで見たことのあるような、よくある作品に映るかもしれません。

しかし、ハードSFがテーマの作品を上げるならば、それこそ昔から数多くの名作が生まれたジャンルであります。

ミステリー要素も、友情をテーマにした冒険話も、その限りではありません。

ですが、昔から何度も使われたかもしれないテーマを絶妙に混ぜ合い、ワクワクと驚愕の連続を私達読者に与え、圧倒的なまでの読ませる力を持った作品に仕上がっています。
ここは、もう篠原健太先生の見事な手腕の成せる技だと言わざるを得ません。

もしも設定やあらすじだけ聞いて
「どこかで読んだ事ある作品だな」
と思った方にこそ、是非『彼方のアストラ』を紐解いて欲しいです。

古典的ハードSF×友情×ミステリー=大傑作 

知っているはずなのに、まるで読めない展開。

ありふれているはずなのに、共感しやすいキャラクター。

騙されないぞと覚悟を決めて読むのに、何度も不意打ちパンチを食らう爽快感。

どこかで読んだ事あるはずなのに

「こんな作品見たことない


と、読了後、貴方は思うはずです。 

古典的名作の要素とよくあるハードなSE物と、何処にでもあるような友情物を組み合わせた作品。

それが、こんなに面白い大傑作になるのですから、つくづく篠原健太先生の技量に驚愕せざるを得ません。

果たして、裏切り者とは誰なのか?

彼らを吸い込んだ球体の正体とは?

そして、彼らを待ち受ける運命とは?

読者すら呆気に取る、驚愕の事実とは?

 

マンガ大賞2019を受賞した事で、これからきっとメディア化などで活気付いていく事でしょう!

その前に、是非一度読んでみる事をオススメします。

全五巻と言う短い作品の中で、貴方は何度も衝撃を受ける事でしょう。

 

と言う訳で、今回紹介しましたのは、

作:篠原健太先生

『彼方のアストラ』

でした。

それでは今回はこの辺で。

ハクライト(@hakuraito00)でした。