繋がる絆の先に人の歴史がある『赤ちゃんと僕』
兄弟は居ますか? 姉妹は居ますか?
どうも、実はお姉ちゃんが欲しかったハクライト(@hakuraito00)です。
今回紹介しますのは、兄弟っていいな、噛み締めさせてくれた名作でございます。
作:羅川真里茂(らがわまりも)先生
『赤ちゃんと僕』
『赤ちゃんと僕』簡単3行あらすじ
小学6年生の榎木拓哉は、母親を事故で亡くし、父親と、まだ幼い弟の実との三人家族。
父親が仕事の間など、実の世話は拓哉の仕事、泣き虫でワガママで拓哉の手に負えない時もあるけれど、自分を慕う実への愛しさも感じ、拓哉自身も実と共に成長していく。
時事問題や社会問題などをテーマに、兄弟の有り方や、人の絆の大切さを柔らかく問い掛ける不朽の名作。
掲載誌情報
1991年より、白泉社『花とゆめ』にて、1997年まで連載されておりました。
第40回、小学館漫画賞を受賞。
コミックスは全18巻。番外編を含め、全104話となっております。
現在では白泉社文庫として全10巻。愛蔵版として、全9巻が発売されている程、時代を超えて愛され続けている作品ですね。
(載せている表紙は愛蔵版のものです)
貴方に兄弟はいますか? それとも一人っ子ですか?
兄弟が一杯いると言う人もいるでしょうし、自分がお兄ちゃんか弟か、若しくはお姉ちゃんか妹かでも、気持ちは変わってくるでしょう。
かくいう私は生まれてこの方一人っ子で、その昔、兄妹の話を舞台台本として書いたときに、友人に言われた衝撃的な事を言われました。
「ハクライトさん、兄弟いないでしょう! 本当の妹がいたら、あんな話書けませんからね! 本当の妹ってのは、クソですから!!」
その時私は心の中で、
「いや、そんな訳ないだろ! 妹がいる人生なんてどんなハッピーライフだよ!」
と、かなり反発を感じた覚えがあります。
思い返すと、彼の家庭環境が随分と心配になりますが、兄弟の居ない私は、自分にお兄ちゃんや弟が居たら、お姉ちゃんや妹がいたらどうなって居たんだろう?
今よりも少しはしっかりした人間だったのかな? なんて思います。
兄弟がいる人は、どちらに感情移入をするかによって見方が変わるかもしれません。私はいつも、どうしても拓哉の方に感情移入をしてしまい、実の事を「どうしてこんなにワガママなんだ!」とイライラする事もあります。
だけど、時折見せる彼の笑顔や、問題が起こった時に必死で拓哉を守ろうとする姿。そして何より、母がいない事で、その分実をしっかりと育てなければと誓う小学生の拓哉に、じんと胸を打たれます。
ですが、もしも自分がもっと幼い時や、お兄ちゃんが居る環境で読んだとしたら、もっと実に共感したかもと思います。
大人になった今、晴海パパ(拓哉と実のお父さん)に共感したりして読み返しました。
号泣する、とにかく泣かせる、と言う作品と言うより、気が付けば胸の内に温かいものが広がっていく。ふと思い出す度に、この作品の大切さを思い出す。これこそが、「赤ちゃんと僕」が長年読継がれている秘訣だと、私は思います。
大切なものを守る為に、貴方だったらどうしますか?
驚きましたよ。久々に読み返してみたら、連載終了から今年2019年で、二十年なんですね。
いやいや、全然色褪せない。
拓哉の小学校や実の幼稚園で起こる問題は、現在でも充分社会で起こっている問題。そう考えると、この20年の間、教育機関における問題は、過激度を増す事はしていても、本質的な解決は迎えていないのだなと、歯痒くなる思いもします。
アニメのみ見てる方へ、ハクライトのおすすめの話
赤ちゃんと僕は、アニメ化もがっつりされており、お兄ちゃん拓哉は山口勝平さん(ワンピースのウソップなどですね)で、実は坂本千夏さん(となりのトトロのメイなどが有名ですね)なので、覚えてる方も多いと思います。
アニメは見てたから、漫画は読んでないけど内容は知ってるよ!
そんな皆さんに、是非この話を読んで頂きたい。
第69話から第73話。
原作コミックスだと第13巻。白泉社文庫版と愛蔵版だと第7巻になります。
この5話は私にとって、非常に特別な話です。何度も何度も好きで読み返し、私の中で「赤ちゃんと僕」と言えば、ここが肝だと思っております。
どんな話かと言えば、拓哉と実の父、春海と今は亡き母、由加子の出会いから、結婚までを描いた話なのです。
この話が私は本当に大好きで、今まで由加子は、拓哉や実の思い出の中に微かに出てくる程度の存在だったのですよ。だけど、その父と母の歴史を紐解かれる事によって、拓哉がどれだけ愛されて生まれてきたのかを、つぶさに感じ取ることが出来るのです。
そして、この話がしっかりとしみ込んだ上での、最終巻のラスト。
ボロボロボロボロ、涙が本当に止まりません。
あの全ての話がここに繋がっているんだ、実は、拓哉は、今でも確かに愛されているんだと感じ、それと同時に、自分も大きな温かい物に包まれて、ここまで生きて来れたのかもしれないと、そう思える作品となっております。
それと共に、母と父の繋がりがあったからこそ自分がいる。
絆の先に人の歴史がある。
それを感じて頂ければ、嬉しいです。
連載終了から愛され続けて二十年。
まだ未読の方、特に男性読者には多いかもしれません。
この機会に、是非一度「赤ちゃんと僕」を手にとってみて下さい。
そしてもし、同じ様な気持ちになってもらえたら「13巻良かった」と言ってもらえたら、私は幸せです。
そして、久しぶりに読み返してみようと思った方、きっと視点が変わっている筈です。是非大人目線で、読み返してみて下さい。
と言う訳で、本日紹介しましたのは、
作:羅川真里茂先生
「赤ちゃんと僕」
でした。
それでは、本日はこの辺で!
ハクライトでした!