ハクライトのおすすめ漫画ブログ

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何者かになりたかった全ての人へ『月曜日の友達』

貴方は、どんな青春時代を過ごして来ましたか?

どうも、青春時代は遊び倒したハクライト(@hakuraito00)です。

では、今回紹介します作品はこちら。

作:阿部共実(あべともみ)先生
『月曜日の友達』

 

『月曜日の友達』簡単3行あらすじ

中学生になったばかりの水谷茜(みずたにあかね)、途端に大人っぽい振る舞いを取るせいか、周囲から浮いていた。

ある日、茜は一人の少年、顔は綺麗だが、様々な奇妙な噂の付き纏う変人、月野透(つきのとおる)が、不良グループに囲まれているのを見かねて制止に入るが、それを友人の土森に止められる。

「もう中学生なんだよ」と掛けられる言葉に、疑問と違和感を覚えて家を飛び出した水谷は、月曜日の夜の学校で、超能力の練習をする月野と邂逅する。

掲載誌情報!

本作は、小学館『ビッグコミックスピリッツ』にて、2017年25号から2018年2・3合併号まで連載。

全二巻、8話と言う短編です。

 

何者かになりたかった青春時代を過ごした全ての人へ 

学生時代。
青春時代。

将来に備えて、勉強を頑張った人。

必死に部活に打ち込んだ人。

大好きな恋人と、大恋愛をした人。

仲間達との馬鹿騒ぎを楽しんだ人。

特に何もしなかった人。

もしかしたら、青春時代を思い出したくないと言う人もいるかもしれません。

だけどもし、その時代の事を思い出した時、少しでも眩しく輝かしいと感じた人がいましたら、今回の作品を読んで貰えたら、きっと何かが、刺さるか響くか、すると思います。

振り返った今、あの頃は楽しかったと、胸を張って言えていますか?

 

貴方の将来の夢は何でしたか?

子供の頃は「君達は何にでもなれる」と先生や大人達に太鼓判を押された子供時代も、成長していくにつれ、将来の夢は? 就きたい仕事は? 進路希望先は? 等と聞かれるようになります。 
大きく広がっていたはずの未来が、現実と言うしがらみに縛られ、いつしか選択肢が狭まっていく。だけど、自分はもっと何かが出来るはずだ、何者かになれるはずだ、と信じてはいても、それを口に出せる勇気が無い人も居たでしょう。

だけど、全ての人は自分でも気付いていない可能性を持っているはずだし、自分はまだ何者かになっていないだけで、もっと凄いことを出来るはずだ、あの時、そう思っていたじゃないか、そんな昔の輝かしい情熱や、瑞々しい思い出を、振り返らせてくれる。

 

貴方の、今の将来の夢は、何ですか?

 

情景はモノローグで語られる『純漫画』と言う手法

 

今作の作品の特徴の一つは、普通の漫画で使われるような『擬音』の手法が無く、情景を音の情報などは、登場キャラクターの台詞で語られる部分です。

例えば、ジョジョシリーズのキャラクターが登場した時の、『ゴゴゴゴゴゴ』

ドラゴンボールで、悟空のカメハメ波が当たったときの『ドゴーーーーーン!』

こう言った漫画的な表現が無く、私はこの作品を始めて読んだ時「詩的で素晴らしいし、なんて純文学的なんだ」と思いました。

純文学とは、物凄く簡潔に言うと、心の内面や人の機微など、より芸術的な分野の文学の事を言います(詳しく知りたい人はググッて下さい)

 

「月曜日。朝。灰色の校舎、黒い頭の群れ、紺の制服。生徒の喧騒と、土のにおいに混じるライラック。春。今日もまた学校が始まる」

 

「暗闇でも光ることを忘れない宝石のような月野の瞳。その小さく薄い口から高い音でとび出すのは、幼稚で変てこですっとんきょうなおとぎ話のようだ」

 

「蝉と蝉と蝉の叫びが入り乱れ激しくぶつかり合う。激しく光を照らされた葉が重なり合ったセロハンのように真緑に透ける。深海のように染まる木々の影。地に跳ね返る木漏れ日は肌を白く焼く」

 

本編内で語られる情景描写は、どれも美しく、その美しさは正に、青春時代のきらめきを大人になってから表現するとしたら確かにこうかもしれないと思わせる、懐かしく、胸にしみる言葉達になっています。

言葉で説明出来る部分をあえて絵だけで説明する試みが、漫画表現への挑戦ならば、漫画での表現なのに漫画的表現を多用せず、敢えて読者の想像力を掻き立てるように、文章を多用したのもまた、新たな漫画表現の挑戦の一つだと思います。

私の造語だと思いますが、この月曜日の友達と言う作品は、『純文学』ならぬ『純漫画』と名付けるのに、相応しい作品だと思いました。

普段小説ばかりで、あまり漫画は読まないと言う方は珍しいかもしれませんが、是非そんな方が居ましたら、手にとって欲しい作品です。

 

あの時気付けなかった眩さを思い知らせてくれる 

主人公の水谷は、中学生になった当初はまだ小学生気分のまま、自分を取り残し周囲が大人になっていく様をもんもんとしています。
そんな時に出会ったのが、超能力と言う子供じみた願望を現実にしようとする月野。
水谷はそんな月野を同士だと思い、月曜日の夜だけの友達になります。

しかし、月野を取り巻く環境や、彼が超能力を手に入れたかった理由に触れるにつれ、自分がどれだけ無自覚に人を傷つけてきたか、大人になるとは何なのかを、悔悟の念と共に考えるようになります。

それは彼女が本当は、自分を追いていってしまった周囲の友達と同じ様に、大人になっていく行為でした。

貴方は、自分が大人になった瞬間を、覚えていますか?

思い返すと悩んでばかり、苦しんでばかり、だけど、月野の事を思い成長をする子供っぽい水谷、徐々に、でも確かに、大人への階段を上っているのです。

覚悟も信念も、後から付いてくるもの。

そして、その様子を本作は、子供が大人になる事の美しさと切なさを、非常に優しく表現してくれている作品だと思います。

 

自分が大人になった時の事を覚えていない方。

あの時、大人になる自分に無頓着だった方。

その眩さをもう一度確かめ、貴方も確かにこの素晴らしい階段を上って、今があるのだと思い出す為に、本書をめくってもらえたら嬉しいです。

 

音楽で聞く『月曜日の友達』の世界

最後に紹介したい動画があります。

ロックバンド『amazarashi』の楽曲『月曜日』です。

こちらは『amazarashi』のファンだった阿部先生が、本作の完結記念に楽曲のタイアップを依頼した所、『amazarashi』で楽曲を手がけるギターボーカルの秋田ひろむさんが、元々阿部先生の作品のファンであり、月曜日の友達を読んだ折に、「すごくいい話なので、過去の曲ではもったいない。新たに楽曲を書きます」と提案。

デモ音源を聞いた阿部先生が、楽曲からインスパイアを受けて、書き下ろしの新エピソードを執筆。それをPVの中に取り入れた、コラボレーション楽曲となっています。

音楽で更に広がる『月曜日の友達』の世界をお楽しみ下さい。


amazarashi『月曜日』“Monday” Music Video|マンガ「月曜日の友達」主題歌

 

 

と言う訳で、今回紹介しましたのは、

作:阿部共実先生の

『月曜日の友達』

でした。

と言う訳で、今回はこの辺で!

ハクライトでした!